臨機応変に対応する
パソコンは長く使用していると埃がたまることがありますが、掃除やクリーニング方法をメーカーがマニュアルに記載したりすることはほとんどありません。
実際に掃除・クリーニングを行う場合は、パソコンの物理的な部分、ハードウェアに関わっていくことになるので、より注意が必要になります。
このページでは、掃除・クリーニングを行う際の注意点、方法、重点的に掃除・クリーニングしたほうがいい部分を実例を交え解説しています。
自己責任
パソコンケースを開けてメモリーを増設することは、マニュアルにもあり特に問題のない作業です。
ただそれ以外の部分、マザーボードやCPU周辺は基盤や回路が露出していて、本来ならあまり扱うべきところではありません。ノートパソコンでは、分解することでメーカーの保証が一切効かなくなることもあります。
そのためパソコン内部のクリーニングというのは、自己責任が前提になってきます。
パソコン内部の埃が、悪い影響を与え始めるのは パソコンを使い始めてから大体3年~5年以上経過してからが多いといえます。
パソコンの掃除やクリーニングをするなら、時期を考えることも大切で頻繁にクリーニングすればいいというものでもありません。
不測の事態
掃除・クリーニングの作業で予期していなかったことも起きることがあります。
部品の取り付けができなくなった
たとえばケースが閉まらなくなった、CPUファンやクーラーの取り付けができなくなった、クリーニング中に何かの部品が外れたがそれが何か分からないなど、分解や部品の取り外し後に、再度取り付けようとしたら失敗することもあります。
熱による微妙な変形でケースが閉まらない、ネジがなまって外せない、また精密に作られているケースでは、閉めるときにほんの僅かな爪がかからないということも考えられます。
クリーニング後 パソコンが起動しない
これも起こりえます。
ひとつはタイミングが悪かったというのがあります。ちょうど部品が壊れかかっていて、クリーニングやケースを開けたタイミングと時を同じくして壊れるというものです。
ちょっとした衝撃かもしれませんし、埃が動いたことが原因かもしれません。
例えば、電源ユニットの内部に埃がたまっているとして、パソコン本体を横にしたり動かしたりするわけですが、この時に電源ユニット内部の埃も移動して、次回電源ON時に電源ユニット内部でショートするということも絶対に起きないというわけではありません。
実際 掃除・クリーニング後にパソコンが起動しないというトラブルはしばしば起きることがあります。
クリーニング後 ファンから異音がする
グラフィックボードやCPUファンをクリーニングした後などに起こることがあります。
ひとつは、ファンに無駄な力・圧力が加わり、ファンの軸がずれてしまったということが考えられます。
通常新しいファンであれば起きないようなことでも 何年も使用しているファンではやや老朽化しているので なんでもないような力が故障の原因になることもあります。
こうしたことを可能な限り防ぐためには、ファンに力を加えない、ファンに直接触れないということがあげられます。
力が加わらないようにウエットティッシュで拭き取ったり、ファンの部分が回転させない、特に逆方向に回転しないように軽く抑えながらエアダスターを吹きかけるなどです。
またまれにですが老朽化が進んでいるときは、ファンの羽根が折れたりすることもあるので注意は必要です。
データのバックアップ
パソコンもそう簡単に壊れるというものではありませんが、慎重に扱うことは大切です。
パソコンの掃除・クリーニングでは、パソコンを動かすことにもなるため、衝撃や落下で、ハードディスクが壊れることは考えられます。
ハードディスク内の大事なデータはバックアップしておきます。
効果
このようにパソコンのクリーニングでは、多少のリスクがありますが、効果があるのも事実です。まとめると主に以下の点があげられます。
- 冷却・排熱の向上
- 埃が原因のパソコンのトラブルが解決する
- 冷却効果がもとに戻るので、機器が長持ちする傾向がある
- 余計なファンの回転数などが減り、省電力化につながる
- 埃による機器のショート・破損が減少する傾向にある。
最も有効なのは、パソコンからの音がうるさい、パソコン使用中に突然電源が落ちるというときです。トラブルの原因が埃の場合は、掃除・クリーニングにより解決することがあります。
方法
道具
埃のたまり具合や汚れ具合にもよるのですが、基本的に道具は用意しておいたスムーズに行うことができます。
一般的にはドライバー、ウエットティッシュ、基盤用の専用ブラシなどがあげられます。埃や汚れの量にもよりますが、掃除機もあったほうがよいことがあります。
パソコンはネジが使われていることがほとんどなので、ドライバーがなければパソコンのケースを開けることもできないこともあります。
ケース
パソコン内部にアクセスするためにケースを開けます。
メーカーによってパソコンの大きさ・形もそれぞれなので、統一的な方法はないのですが、手がかりとしてはパソコンのマニュアル(説明書)があります。
メモリー増設については、マニュアルに記載されていることが多いため、ここにパソコンケースの開け方が記載されています。
最も多いのは、デスクトップパソコンならサイドパネルを取り外すことで、パソコンの内部にアクセスするというものです。
目に見えたところから進める
掃除・クリーニングは目に見えたところ、目立ってすぐに分かるところから始めるのが無難です。
ケースを開けた瞬間に、すでに全体的に汚れていたり、目立って汚れているところがすぐ見つかることもあります。
掃除機を使う場合は、掃除機を基盤やパソコンの部品に接触させないことです。吸い取るのはいいのですが、掃除機の先端などを基盤や回路などにあてると故障の原因になります。
できるだけ専用のブラシなどで埃を取りながら、ブラシに付いた埃を掃除機で吸い取るというのが安全で効果的です。
掃除・クリーニングするポイント
パソコン内部には、埃がたまりやすいポイントというのがあります。
ファンがあるところ、空気の流れがあるところに埃はたまる傾向にあります。そこを見ていくことになります。そういう主要な部分をクリーニングすることで、全体の空気の流れがよくなります。
部品の取り外しなどは無理をしないことです。
目に見えたところをクリーニングするだけでもだいぶ違います。手の届かないところはエアスプレーなどを使用します。自分のできるところで進めることが大切です。
実例1
目に見えたところとしては、ケース底面などがよく埃がたまります。
基盤に当てないように掃除機などで吸い取ることができます。
基盤(マザーボード)上は、専用のブラシやエアダスターなどを使用すると効果的です。
掃除機の先端を直接 当てないことです。ブラシについた埃を掃除機で取る、エアダスターで弾いた埃を掃除機で取るなど工夫します。
拡張スロット付近にも埃はたまりやすくなっています。
拡張スロットに増設されている機器。
基板上(表・裏)によく埃が付着します。
埃を取り除くことができます。
メモリーにはうっすらと埃が付着することがあります。
このような基板上の埃は、掃除機ではなかなか取ることはできません。
きれいになります。
電源ユニット。埃が付着しています。
ブラシや掃除機などで取り除きます。
実例2
CPUクーラーは一番埃がたまりやすいところです。
ファンが付いているもの、例えばCPUクーラーやグラフィックボードは、エアダスターなどを使う場合、ファンが動かないように空間に綿棒やドライバーなどを当てておきます。
ファンを逆方向や大きく回転させるのは望ましい方法とはいえません。
CPUファンとヒートシンクの間に埃がたまっています。
エアダスターでクリーニングします。
CPUファンを取り外さなくても きれいにすることができます。
CPUファンの取り外しが難しい時は、このようにエアダスターなどを使うことがあります。
CPUクーラーのクリーニングでは、他にCPUファンを取り外して行う方法やCPUクーラーを取り外して行う方法などがあります。
実例3
ケースのフロント部分。フロントパネルとケースファンを取り外したところ。
この例では、ウェットティッシュ、掃除機などでクリーニング。
実例4
ケースの外側の端子部分に埃が付着していることもよくあります。
この例では、ブラシや掃除機でクリーニング。
実例5
グラフィックボードは、ファンの部分に埃がたまりやすいため、グラフィックボードの取り外しを行い クリーニングするということもあります。
グラフィックボードの付いたパソコン。パソコン内部やグラフィックボードに埃が付着しています。
クリーニング後。
パソコンの形状はそれぞれ異なるため、そのパソコンにあったクリーニング方法で行います。ただパソコン内部の構成、埃がたまりやすいポイントというのは、ある程度共通しているところがあります。