ハードディスクのデータ消去などで活用
ハードディスクは、ゼロを書き込む ゼロフィルという操作があります。
パソコンの譲渡や廃棄など、すべてのデータを完全に消去し、データの復元を困難にする際に行われることがあります。
ゼロフィルは、一般的に物理フォーマット、ローレベルフォーマットともいいます。
本来の意味での物理フォ-マットとは、ハードディスクを使えるようにするための最初の初期化作業、磁気ディスクのセクタを構成する作業であり、ハードディスクメーカーによって行われますが、ユーザーがハードウェアに最も近いレベルで行うことができるため、慣習的にゼロフィルを物理フォーマット、ローレベルフォーマットといいます。
Windows上で行う 論理フォーマットと対比して使われることがあります。
ゼロフィルは、データ消去の他、そのハードディスクが再利用できるかどうかテストも兼ねて行われることがあります。
HDDベンダー
部品の製造元・販売元のことを ベンダーといいます。代表的なハードディスクのベンダーに、SeagateとWesten Digitalがあります。
Seagateは Seatools、Westen Digitalからは Data LifeGuard Diagnosticというツールが提供されています。
両ツールともハードディスクのテストとゼロフィルを行うことができます。
ゼロフィルを行う場合、SeagateのSeatoolsはWindowsが起動する前、起動ディスクから行います。一方、Western DigitalのData LifeGuard Diagnosticは、Windows上で行います。
また、基本的にSeatoolsのゼロフィルは、Seagate製のハードディスク、Data LifeGuard Diagnosticのゼロフィルは、Western Digital製のハードディスクで可能となっています。
Acronis
Acronisの提供するソフトウェアに、Acronis Drive Cleanserがあります。
Acronis Drive Cleanserは、単体で市販されていることもありますが、イメージバックアップのソフトウェアである Acronis True Imageの機能のひとつとして使えるようになっています。
製品版のAcronis True Imageだけではなく、HDDやSSDメーカーのバンドル版のAcronis True Imageでも基本的に使えるため、使用できるパソコンは多くなっています。
Acronis Drive Clearnerは、Windows上から行う方法と起動ディスクから行う方法があります。ゼロフィルの他、データ消去の手法 アルゴリズムやレベル・強度を設定することができます。
他に市販ソフトやフリーソフトでも、ゼロフィルを行うことができるものがあります。概ね、データ消去ができるソフトウェアでは、ゼロフィルを用いて行っています。
メーカー製パソコンにも、ゼロフィルによるデータ消去ツールがインストールされていることがあります。BIOS画面から入って操作することが多くなりますが、方法は概ねマニュアルに記載されています。
Windowsのインストールされているドライブのデータ消去は、起動している状態では実行できないため、起動ディスクを用いたり、Windowsが起動する前に行うようになっています。
diskpart
Windowsには、diskpartという操作があります。
diskpartを使うことで、接続されているディスクのゼロフィルを行うことができます。
Windows上からはコマンドプロンプト、Windowsが起動していない状態では OSのインストールディスクやシステム修復ディスクから起動し、コマンドプロンプトでdiskpartを起動させて実行します。
MBRやGPTを規定している領域の削除は clean、ゼロフィルを行う場合は clean allと入力します。
Acronisのようなソフトウェアを使う場合も、コマンドを入力して行う場合も、対象のディスクの選択は十分に注意する必要があります。またゼロフィルやデータ消去は、HDDの容量が大きいほど時間がかかります。
Darik's Boot And Nuke
データ消去、ゼロフィルを行うことができる フリーのソフトウェアとして、Darik's Boot And Nukeがあります。略称 DBAN。オープンソースソフトウェアのひとつで、現在はデータ消去を手掛ける Blancco社の管理のもと公開されています。
主にCDで起動ディスクを作成し、ゼロフィルやアルゴリズムを用いたデータ消去を行うことができます。
BIOS対応、動作が軽い、英語表記、キーボードによる操作などが特徴で、やや上級者向けのソフトウェアとなります。