パソコンパーツに電気を供給
電源は、パソコン全体に電気を流すという大切な役割があります。
電源の安定した電力供給は、パソコンパーツの安定した動作・故障率の低下につながる傾向があるといわれています。
このページでは、自作パソコンで使用する電源の種類や規格、関連する用語について解説しています。
大きさ・規格
自作パソコンで使用する電源ユニットで、最も使用されるのは ATX規格に基づいた ATX電源といわれるものです。ATX電源に対応のPCケースに組み込むことができます。
ATX電源。
ネジで固定するところが4箇所あるのが特徴です。
他にやや小さめのMicroATX電源(SFX電源)、スリムタワーで使われるTFX電源などがありますが、使用されることはほとんどありません。
プラグイン
プラグインとは、電源部とケーブルが着脱できるようになっているものをいいます。プラグイン電源ともいいます。
メイン電源・CPU電源なども含め すべて着脱できるものをフルプラグイン、メイン電源・CPU電源のみ電源ユニットから直接出ており、それ以外を着脱できるようなものをセミプラグインということもあります。
プラグン電源は、必要なケーブルだけマザーボードと接続するため、余分なケーブルがケース内に収まることがなくなります。そのため、メンテナンス性の向上、ケース内部の空気の流れ エアフローの促進による 排熱・冷却効果にもつながると考えられます。
電源ケーブル
電源ユニットからは、接続するパーツごとにケーブルの種類が決まっています。
メイン電源。24(20+4)pin。
マザーボードに接続します。
マザーボード側が20ピンの場合があります。それにあわせて接続できるようになっています。
CPU用電源。8(4+4)pin。
マザーボードによっては、4pinで使います。
PCI-Express用8ピン。8(6+2)pin。
8pinのグラフィックボードに接続します。
グラフィックボードによっては、6ピンで使います。
メイン電源、CPU電源、PCI-Expressの電源は向きが決まっており、爪も付いているため取り付けの際は確認が必要です。
SATA電源。
主にSATA接続のSSD、HDD、光学ドライブで使用します。
L字型になっており、向きが決まっています。確認せずに力を入れて取り付けたりすると、SSD・HDD側のコネクタが破損することがあるため注意が必要です。
汎用4ピン。ペリフェラル4pin。
主にIDE接続のハードディスク・光学ドライブ、ケースファンの電源として使用します。
FDD用4ピン。
フロッピードライブは現在使われていませんが、拡張カードで電源が必要な時に使うことがあります。
電源の箱や商品説明には、コネクターの種類や数が明記されています。
ほとんどの電源は、メイン電源、CPU電源、PCI-E電源、SATA電源、ペリフェラル4P電源を備えています。
グラフィックボードがある場合は、6pinと8pinが付いているかどうか、いくつ付いているか、確認する必要があります。
変換ケーブル
パーツ増設時に電源ケーブルが足りないということもしばしばあります。変換ケーブルを使うことで対応できることもあります。
例:ペリフェラル 4ピン→SATAへの変換。
変換ケーブルは、他にもいくつか種類があります。
ただ基本的にあまり推奨されるものではありません。パーツとの組み合わせ次第では不具合などが起きる可能性があります。多少事例が報告されています。
重要でメインとなるデバイス、例えばシステムドライブやグラフィックボードに対しては、やはり電源ユニットからの直接の配線がよいと考えられます。
80PLUS認証
パソコンパーツは直流電流 DCで動作します。
電源ユニットの主要な役割は、交流から直流に変換することです。
変換の際には、無駄やロスが生じています。通常はすべての電流を変換できているわけではなく、変換効率が80%未満といわれています。
80PLUS認証というのは、電源変換効率が80%以上の電源ユニットのことであり、そのような電源ユニットに第三者機関が認証を与えています。
変換効率が高いと、それだけ無駄やロスが少なく省電力・低発熱・高寿命につながる傾向があります。
80PLUS認証には変換効率に応じて以下のランク付けがされています。シルバーやゴールドほど変換効率は高くなります。
80PLUS スタンダード
出力20%・・・80%以上の変換効率
出力50%・・・80%以上
出力100%・・・80%以上
80PLUS ブロンズ
出力20%・・・82%以上
出力50%・・・85%以上
出力100%・・・82%以上
80PLUS シルバー
出力20%・・・85%以上
出力50%・・・88%以上
出力100%・・・85%以上
80PLUS ゴールド
出力20%・・・87%以上
出力 50%・・・90%以上
出力100%・・・87%以上
80PLUS プラチナ
出力20%・・・90%以上
出力 50%・・・92%以上
出力100%・・・89%以上
ワット数・出力
電源にはワット数・出力というものがあります。W(ワット)は、電圧(V)×電流(A)で、電圧は電流を押し出す力、電流は電気の流れる量です。その電源ユニットがどのぐらい出力できるか、仕事ができるかを示しています。
ワット数。
パソコンのパーツはそれぞれ電力を消費するので、それらのパーツの総消費電力に見合った電力供給を行う必要があります。
パソコンパーツの構成に合わせて電源のワット数も選択することになりますが、一般的な使用であれば 概ね450w~550wぐらいあれば十分といわれています。
消費電力の高いCPUやグラフィックボードを使用する場合は600w以上を選択することが多くなります。
機能
電源ユニットには保護回路が付いています。電源ユニットのパッケージに記載されていることがあります。搭載している保護回路は、製品ごとに異なります。
- OCP・・・過電流保護
- OPP・・・過負荷保護
- OTP・・・過温度保護
- OVP・・・過電圧保護
- SCP・・・ショート回路保護
- SIP・・・雷防止保護
- UVP・・・低電圧保護
主電源スイッチ
ほとんどの電源ユニットに、主電源スイッチが付いています。-がON、○がOFFです。
パソコン内部にアクセスする際は、OFFにします。パーツ交換の際は 安全のため、主電源OFF後に電源ケーブルを取り外して作業するのが一般的です。
主電源スイッチ。主電源をONの状態では、スタンバイ電流が流れており マザーボードのランプの点灯がそれに該当します。
テスター
電源ユニットは故障することがありますが、パソコンの電源が入らないという場合は、電源かマザーボードのいずれかの故障の可能性が高くなります。
どちらが故障しているのか、判別が難しいことがありますが、一般的に個人で行うことができる切り分けの方法としては、電源を他のマザーボードに繋いで検証する、テスターを用いるというものがあります。
電源のテスター。
点灯しなければ故障、点灯すれば正常になります。点灯した場合は、電圧なども表示されます。電源のテスターは、業務用途などでも使われることがあります。
取り付け
電源ユニットの取り付けは、PCケースの所定の場所に行います。
ケース下部の例。基本的にファンはケース内を向きます。
ただケース下部に空気孔がある場合 ファンを下にして取り付けができるものもあります。PCケースによって対応しているかしていないか異なります。
ネジ穴を合わせて固定します。電源付属のインチネジ大を使います。
パソコン組み立て後や電源交換後は、ケース内で結束バンドなどを使いまとめます。
メーカー
自作パソコンの電源はいくつものメーカーが製造・販売しています。
Antec、SilverStone、玄人志向、Thermaltake、Seasonic、Corsairなどがあります。メーカーに加えて 80PLUS認証を基準にして選ぶことが多くなっています。
販売形態
自作パソコンで使用する電源は、パソコンショップでパッケージ品として販売されています。
電源ユニット本体の他、電源ケーブル、ケース固定用ネジ4本、保証書などです。結束バンドが付いていることもあります。
Antec 電源ユニット。
Thermaltake 電源ユニット。
最近の電源ユニットは、3年から5年の長期保証が付くことが多くなっています。
2023年 現在人気の電源ユニット
自作パソコンにおいては、パソコンを新たに自作する場合、パーツ増設の際の電力不足に対応する場合、または電源ユニットの故障の場合に電源ユニットが必要になります。
PCケースの大きさによって ATX電源かMicroATX電源になりますが、ほとんどがATX電源です。80PLUS認証、電源ケーブルの種類、ワット数などを確認して選びます。またPCケースの配線を考慮して、ケーブルが薄型・フラットになっているものも増えてきています。
パーツの構成にもよりますが、80PLUS認証、400W~750W、ATX電源がよく使われます。
近年は、パソコンパーツの低消費電力化、高性能化が際立っており 以前ほどには大容量電源の需要はなくなりつつあります。また全体的な傾向として、フラットなケーブルが増えてきています。