自作パソコンとも関係が深いBTOパソコン
一般的なメーカー製パソコン、自作パソコンの他に、BTOパソコンというものがあります。
このページではBTOとは何か?自作パソコンとBTOパソコンの関連性、BTOパソコンの特徴について紹介しています。
BTO
BTOというのは、Build to Order の略語です。受注生産という意味があります。
店舗でパソコンを購入すると気付かないのですが、Web上では、Fujitsu・DELL・NECなどのパソコンメーカーが、CPU・メモリー・ストレージ・OSのエディション・Office搭載の有無などを自分でカスタマイズして購入できるように専用のサイトが設けられています。
メーカー製パソコンでは、BTOやBTOパソコンというよりも、カスタマイズPCという言葉が使われている傾向があります。
受注生産とはありますが、正確にはある程度 生産されているデスクトップパソコンやノートパソコンをカスタマイズする、構成しているパーツを選択肢から選ぶというかたちになります。完全にすべての構成をカスタマイズできるわけではありません。
パソコンショップ
パソコンパーツなどを販売しているパソコンショップも、BTOパソコンという言葉を使うようになっています。BTOパソコンという言葉が広く知られるようになってきたのも、パソコンショップの台頭が大きいといえます。
パソコンショップというのは、以下のようなところがあります。
- ドスパラ
- パソコン工房
- TSUKUMO
これらのショップは、自作パソコンのパーツを販売し、BTOパソコンも取り扱っています。
パソコンショップのBTOパソコンも、ユーザーがある程度 スペックをカスタマイズすることができます。
前述したDELLやNECなどのメーカーと異なるところは、パソコンショップは主にATXとMicroATXなどの自作パソコンの規格に基いて、パーツを組み立てて生産しているということです。
つまり、自作パソコンに近いといえます。
ATXやMicroATXなどの規格に基いてパソコンを組み立てているメーカーは他にもいくつかあります。以下のメーカーがそれに当たります。
- マウスコンピューター
- FRONTIER
いくつか例外はあるとはいえ、フルタワー・ミドルタワー・マイクロタワーというケースのパソコンやグラフィックボードが増設されているパソコンは、ほとんど自作パソコンと同じ構造であると考えられます。
一般的にこれらのメーカーを、BTOパソコンメーカーということがあります。
ATXとMicroATX
自作パソコンとパソコンショップのBTOパソコンに関係性がある、類似性があるというのは、以下のような事例からも見ることができます。
ドスパラのケースに、自作パソコンのパーツを取り付け。
マウスコンピューターのケースにて、ほぼすべてのパソコンパーツを取り外し、自作パソコンのパーツに交換。
パソコン工房のミニタワー型にて、電源ユニットの交換。
ケースによっては、完全な互換性があるとはいえないこともありますが、概ね自作パソコンで用いるパーツを利用することができ、ATXやMciroATXのパソコンパーツとの高い互換性、メンテナンス性や拡張性を備えているということが分かります。
マザーボード
メーカー製パソコンとBTOパソコンメーカーの最も大きな違いは、マザーボードです。
メーカー製パソコンは、一般的に自社でマザーボードを開発・製造しています。一方、BTOパソコンメーカーは、マザーボードメーカーで開発・製造されたものを使います。このような形態を OEMということがあります。
そのマザーボードメーカーは、自作パソコンでマザーボードを提供している会社と概ね同じです。そのため、マザーボードの規格がATXやMicroATXになるのは必然といえます。またマザーボードがATXやMicroATXになると、電源とPCケースもそれに合うものとなります。
BTOパソコンメーカーによって、どのメーカーのマザーボードを使うかは異なります。
以前から使われているメーカーも含めると、ECS、Foxconn、ASUS、GIGABYTE、MSI、Asrockなどがあります。
自作パソコンで使うものと比べると、市販されているものではなく 少し型番が異なったり、機能がやや省かれていることがあります。ただいくつかのBTOパソコンメーカーは、市販されているものと同じものを使うことがあります。
この場合は、ある意味 完成した自作パソコン、ショップで組み立てられた自作パソコンということができます。
PCケース
BTOパソコンにも ミニタワーやミドルタワーなどケースの大きさが表記されていることがあります。
基本的に自作パソコンと同じです。
PCケースには、ミドルタワーやミニタワーがあります。ミドルタワーには ATXやMicroATXのマザーボードが入っています。ミニタワーはマイクロタワーともいわれ、MicroATXのマザーボードが入っています。
他にフルタワーや小型のスリムタワーなどもあります。ただ小型のスリム型は、ATXといわれる汎用の電源が使われているわけではなく、いくつかの配線が独自規格になっていることもあるため、自作パソコンと同じように考えることはできません。
自作パソコンでもBTOパソコンでもバランスのとれたミドルタワーが主流になっています。
また自作パソコンで用いるケースはやや無機質なものが多いのですが、BTOパソコンメーカーのケースは、完成したパソコンの販売ということもあり メンテナンス性や拡張性に加え、デザイン性が加味されている傾向があります。
例えばドスパラやパソコン工房、マウスコンピューターなどで使われているPCケースというのは、店舗でケースのみの販売というのを基本的に行っていないため、自作パソコンユーザーがBTOパソコンのケースを使いたくても、単体で購入するということができないという特徴もあります。
パーツ交換・増設
BTOパソコンというのは、はじめの注文時にカスタマイズできる自由度が高いというのもありますが、あとからカスタマイズや修理も行いやすい傾向があります。
自作パソコンと同じように グラフィックボードやハードディスクの増設をできることがほとんどです。
例えば、はじめの構成でAというグラフィックボードを選択していても、後から自分でBに変更する、増設用のSSDやHDDを無しにしていても、後から自分で増設するということが行いやすくなります。
パソコンショップには様々なパソコンパーツが販売されているので、パーツ交換や増設、修理が比較的安価にスムーズに行える可能性があります。
これは仮に自分が行わないとしても、組織内である程度対応できる人や、第三者・専門の会社などに依頼した場合でも同様です。
パフォーマンス
同じぐらいの価格、同じような性能でも、BTOパソコンのほうがメーカー製パソコンよりパフォーマンスが高い傾向があります。
これはいくつかの理由があります。
- マザーボードの性能や造りが安定している
- パーツの性能に焦点を当てたパソコンが多い
- 付属しているアプリケーションソフトが少ない
- デザインよりも性能・エアフロー重視
- グラフィックボード搭載が多い
- 出力の高い、あるいは80PLUS認証の電源を使うことがある
- 最新のパソコンパーツを使うことが多い
BTOパソコンメーカーは、パソコンパーツを販売しているところももあり、性能について熟知しているという点があります。そのため、最新のパーツや性能の高いパーツを組み合わせたハイエンドな製品群を出してきます。
用途
パソコンショップのBTOパソコンには、ミドルタワーやミニタワーの他に、スリムタイプのものやノートパソコンもあります。
ただスリムタイプやノートパソコンというのは、Dell、Lenovo、NEC、Vaio、Panasonicなど既存のメーカーが得意としている分野であり、優れたデザインをはじめ 様々な技術や知見を蓄積しているところでもあります。
BTOパソコンの着目すべき点をあげるなら、ミドルタワーやミニタワーにおけるATX・MicroATXとの高い互換性、メンテナンス性、拡張性、そして最新のパーツ・性能の高いパーツを積極的に採用すること、これらがバランスよくまとまっている点にあるといえます。
BTOパソコンは、次にような場合におすすめです。
- 性能重視でパソコンを選びたい
- 高性能なパソコン、SSD搭載のパソコンがほしい
- 6コア・8コア・12コアなどのCPUを使いたい
- 画像処理や動画編集、3DCGなど業務用・仕事用で使いたい
- メーカー製パソコン付属のソフトを使うことはほとんどない
- あとでパーツを増設できたりするパソコンがほしい
BTOパソコンは、ゲーミングPCが前面に出されることがありますが、これは3D描画やCPUの能力が高いことを表しているということができます。事業所、学術・研究機関でもしばしば使われていることを見ることがあります。
コスト
実際にパソコンパーツを揃えて組み立てるよりも、BTOパソコンのほうがコストパフォーマンスがよいということもあります。
例えば、2万ぐらいのCPUがあるとします。一般のユーザーは小売価格で購入します。しかし、パソコンショップなどは、小売価格ではなく仕入れ価格で入手しています。またOSやOffice、他の部品についても、同様のことがいえます。
同じような構成・パソコンパーツである場合、部品やソフトウェアにかかるコストは、一般ユーザーの方が高く、BTOパソコンのほうが低く抑えられていることは明らかです。BTOパソコンの場合は、組み立てや保証なども含めて価格に上乗せされパッケージ化されているということになります。
自作パソコンでは、パソコンパーツの組み合わせ、相性、初期不良やトラブルなども想定しなければなりませんが、BTOパソコンの場合は 基本的にすでに検証済みのパーツが使われるため、その点はあまり心配する必要がないといえます。
保証
自作パソコンでは、パソコンパーツを揃えたり、組み立てたりしますが、パソコンが完成し正常に動作するかどうかについては、自分で責任を持つというのが原則になります。
仮に、どれかのパーツの初期不良等があれば、それを切り分けて見つけ出し交換するということもあります。また、基本的に保証期間内は、それぞれのパソコンパーツの空き箱や購入証明書なども保管しておかなければなりません。
一方、BTOパソコンの場合は、チップセットやCPUとの適合、相性、パソコンパーツの初期不良などはほとんど考えること必要がありません。
仮に、しばらくしてハードウェア・パソコンの不具合と思えるようなことがあれば、基本的にメーカー製パソコンと同じく 問い合わせの窓口が用意されています。また保証期間内であれば、メーカーの保証があるというのも特徴です。
自作パソコンと異なるのは、前述したように特にマザーボードになります。そのためアップデートやドライバなどは、基本的にBTOパソコンメーカーで公開されている情報によることになります。
BTOパソコンメーカー
BTOパソコンにもいくつかのメーカーがあります。代表的なところでは ドスパラ、マウスコンピューター、パソコン工房などのメーカーがあります。いずれも実店舗があり、パソコンパーツそのものを除けば、国内生産、国内組み立てです。
ドスパラは、パソコンパーツ販売も行うBTOパソコンメーカーです。
パソコン工房は、グループ店舗を合わせれば BTOパソコンメーカーで実店舗が一番多いメーカーです。また店舗が広く、品揃えが豊富な傾向があります。一般のメーカー製パソコンを含めた修理窓口があります。
マウスコンピューターは、落ち着いたデザインや使用用途に応じた豊富な品揃え、24時間対応の問い合わせ窓口などが特徴です。
ゲーミングPCのG-Tune、法人・ビジネス向け、クリエイター向けPCなどがあります。
他にはソフマップ、TSUKUMOなどもパソコンパーツやBTOパソコンを取り扱っています。
ベアボーン
ベアボーンとは、最小限の中身がないパソコン、半製品のパソコンという意味です。
ベアボーンは、主にPCケース、電源、マザーボードで構成されています。したがって、パソコンを動かすためには、CPU、メモリー、ハードディスク、OSなどを追加して組み立て、インストールなどの作業が必要になります。
自作パソコンの領域になりますが、ケースや電源はATXやMicroATXの規格ではありません。Mini-ITXという規格や小型・スリム型の規格です。IntelのNUCやShuttleなどが知られています。
パソコンショップでは、このようなベアボーンもありますが、一般的なBTOパソコンとはやや異なります。
組み立てキット
組み立てキットは、主にATXやMicroATXのパソコンパーツが使われています。まれに小型、スリム型のものもあります。
パソコンショップ側で、比較的新しく人気のあるパーツなどを選んで使用しているので、自作パソコンと同じようなパーツ構成になります。
マザーボードとメモリーの相性やマザーボードとCPUの対応状況などが、パソコンショップ側でほぼ確認・動作検証された上で販売されているので、パーツ選びをする必要がない、パーツの相性問題を気にする必要がないというのがあります。
組み立てキットは、組み立てとOSインストールを自分で行います。いくつかのBTOパソコンメーカーが組み立てキットを出しています。