パソコンの廃棄方法と注意点

平成13年に資源有効利用促進法が施行され、循環型社会を形成していくため 3Rの取り組みが進められています。

家電、自動車、プラスチックなどとともにパソコンも対象品目となっており、メーカーによる自主回収・リサイクルが義務付けられています。

対象のものは、デスクトップパソコン、ノートパソコン、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、液晶と本体の一体型パソコンなどです。

基本的に自治体での処分・回収は行われないため不燃物・粗大ゴミとして出すことは出来なくなっています。

プリンターやキーボード、マウスなど周辺機器は対象にはならないため、自治体などで不燃物・粗大ゴミとして出せることもありますが、各自治体により対応は異なるので HPなどで確認が必要です。

(3R:Reduce 発生抑制、Reuse 再利用、Recycle 再資源化)

廃棄・処分方法

発送や宅配

インターネットで検索すると近くに廃棄・処分するところがなくても、古いパソコン・使わなくなったパソコンを発送や宅配で廃棄・処分できるところがあります。送料は自分で負担するが、廃棄費用は無料というパターンが多くなっています。ハードディスクのデータ消去も行っているところもあります。

基本的にパソコン部品のみの廃棄やブラウン管モニターの廃棄を受け付けていないところが多いのですが、廃棄・処分会社によっては パソコンの他に、パソコンの部品、周辺機器なども回収の対象としていることがあります。対象品目の確認が必要です。

【国認定】不用PCの宅配便回収<リネットジャパン>

地域の廃棄・回収会社

地域によっては、パソコンや家電不用品の回収や引き取りを行っているところがあります。持ち込みでの廃棄・回収が可能なところもあります。

回収会社・事業所によって多少異なりますが、パソコンの部品、キーボード・マウスなどの周辺機器なども対象となっていることもあります。対象品目の確認が必要です。

対象品目やデータ消去の有無など確認が必要です。

メーカーによる回収

パソコンは家庭系と事業系に分けられ、それぞれのメーカーの指定する方法に従います。

平成15年10月以降に販売された家庭向けパソコンには、PCリサイクルマークが貼付されています。原則としてこのマークが付いているパソコンは廃棄の際に新たな料金がかかることはありません。

データ消去は、基本的に自己責任というかたちになります。また自作パソコンや日本から撤退したメーカーなども回収先が設けられています。

ハードディスク取り出しが可能かどうかもメーカーによって異なってきますので確認が必要です。

注意点

パソコン廃棄の際に注意すべき点は、データの取り扱いです。

パソコンには、データの記憶されたハードディスクが内蔵されており、ここにすべてのデータが入っています。近年はハードディスクの代わりにフラッシュメモリー、SSDを使っていることもあります。基本的に、メモリーやマザーボードなどハードディスクやSSD以外の部品にデータが記憶・記録されることはありません

ハードディスクは、パソコンが起動しない、異音がする、初期化したなどの場合でも完全にデータが消えているというわけではなく、特殊な方法で読み取ることは可能といわれています。

そのためパソコンを廃棄する際は、ハードディスクやSSDなどに気を付けるということになります。

仮に自分のデータはそれほど問題ないという場合でも、メールアドレスなどをはじめ他人の情報が含まれているということもあります。事業所、ビジネス用途で使用していた場合は、特に慎重さが求められます。パソコンの廃棄・処分、データの消去など適切な手続きをふまないと、インシデントにつながる可能性があります。

データ消去

廃棄・処分会社・メーカー

パソコンの廃棄・処分の会社によっては、データ消去・証明書発行までサービスで行ってくれるところもあります。廃棄・処分とあわせてデータ消去も任せるという方法です。

また一部のメーカーは回収の際にデータ消去をしてくれるところもあります。

ハードディスクのデータがそれほど気にならなければ、パソコンごとそのまま廃棄・処分というかたちもありますが、前述したように他人のメールアドレスや個人情報が含まれていることもあるので、データ消去の証明書発行まで視野にいれておく必要があります。

ハードディスクの取り出し

パソコンからハードディスクを取り出して、パソコンを廃棄・処分します。ハードディスクの取り出しに関してはパソコンの分解が必要になることがあります。

ハードディスク 金属製の箱型の部品がハードディスク。

一番左がデスクトップ用3.5インチ、右の2つがノート用 2.5インチと1.8インチ。

取り出したハードディスクを自分で保管しておくというのもひとつの方法です

データが入っていればバックアップ用のハードディスクとしても使用できるでしょう。また再フォーマットして予備のハードディスクとして保管しておくなど使い道はあります。ただしハードディスクが壊れている場合は再利用はできません。

使用する予定がない、故障しているという場合は、物理的な破壊を行う方法もあります。

物理的な破壊については、個人でも行うことができないわけではありませんが、内部のプラッタなどの破壊時などに怪我などをしないように十分に注意する必要があります。

ハードディスクを分解し 内部の磁気ディスクを破壊すると、ガラスのように破片になることがあり、手袋やゴーグルなどをしないと危険な場合があります。

3.5インチハードディスク 例:デスクトップ用3.5インチのハードディスクの分解。

データが記憶されている磁気ディスクに、ドリルやヤスリを使用して物理的に傷をつけます。


2.5インチハードディスク 例:ノートパソコン用2.5インチのハードディスクの分解。

磁気ディスクを物理的に破壊。


取り外して破壊したハードディスクは、パソコンではありませんので基本的に不燃物・資源ごみとして出せます。ただ自治体により対応が異なりますので、HPなどで確認します。

数は多くはありませんが、地域の廃棄・処分を行っている会社などには、ハードディスクを物理的に破壊する機器をおいていることがあり、このような場所に直接ハードディスクを持参して物理的な破壊とデータ消去を行うことができます。

また家電店では、ビックカメラグループの店舗にハードディスク破壊の機器がおいてあることがあります。

前述したように、メーカーでの廃棄をする場合は、ハードディスクを取り出してもいいかどうかの確認はしたほうがいいでしょう。ただほとんどのメーカーは、ハードディスクを取り外した上での廃棄・回収を認めています。

ゼロフィル

パソコンに付属のデータ消去ソフトや専用のソフトウェアを使って、ゼロを書き込む ゼロフィルを行い、ハードディスクを取り出さずにデータ消去を行うことができます。

一般的にゼロフィルは、データの復元を困難にする方法として知られています。また、ハードディスクの取り出しが難しいときなどにも有効です。

ゼロフィル後に、発送・宅配してデータ消去を依頼する、ゼロフィル後にハードディスク破壊の機器のある店舗に持ち込むなど組み合わせることで、データ消去の確実性を高めることもできます。

資源の再利用

パソコンの廃棄・処分を無料で請け負ってくれる会社は、探せばいくつか見つけることができます。

無料である理由は以下のような点があげられます。

ひとつは再生可能なパソコン部品を取り出して、それを再利用するというのがあります。CPUやメモリー、グラフィックボードなどが該当すると考えられます。リユース Reuseです。

もう一つはパソコンおよびパソコンの部品がほとんど金属で出来ているということです。鉄やアルミとして再利用できるということになります。

パソコンの部品には微小ではありますが、希少金属、レアメタルが使用されています。廃棄・処分されるパソコンからは金属などの他に、レアメタルも取り出され再利用されます。リサイクル Recycle です。

特に廃棄物のレアメタルは、都市鉱山ともいわれます。

買取・下取り

パソコンあるいはパソコンの部品を買取や下取りに出す、中古品としてオークションなどで販売するという方法もあります。

パソコンは部品の集合体なので、起動しなかったり壊れたりしてもまだ利用できる部品があるので、一部が壊れていたとしても買い取ってもらえることはあります。比較的性能が高いパソコンや部品、珍しいパソコン(レアなパソコンや部品)はこうした傾向が強いといえます。

買取を行っているところとしては、ソフマップ、じゃんぱら、パソコン工房などがあります。買取店舗によっては、買取上限金額を設定していることがあり、パソコン本体、パソコンパーツともに 付属品の有無によって金額が変動することがあります。

近年パソコンの性能は向上しており、性能が高くて安いパソコンが増えてきています。古いパソコン・部品などはほとんど値段が付かないこともあります。またパソコンを買取に出す場合も、データ消去については配慮すべき点になります。