回線とプロバイダは別々に考える

インターネットをするには、インターネット回線とプロバイダの契約が必要となります。

通信インフラとしての回線と 認証をするためのプロバイダと別々に考えることができます。

このページでは、インターネット回線とプロバイダの違い、関連する用語について解説しています。

道路と関所

回線とプロバイダにはそれぞれ役割があります。

インターネット回線というのは、文字通り回線です。情報のやり取りをどういう回線で行うか、どの会社のものを使うかというものです。

例えば、目的地まで車に乗って行くとして道路を使いますが、その道路だといえます。

回線

光回線、ADSL、CATVなどありますが、それぞれいろいろな道路を使用していると考えることができます。

しばらく道路を進むとインターネットという仮想空間が広がっているとします。

このインターネットへの入り口で IDパスワードを発行したり、グローバルIPアドレスの割当を行っているのがプロバイダです。ISP インターネット・サービス・プロバイダといいます。

例えば映画館に入るにしても、遊園地で遊ぶにしても入場券が必要になります。誰でも自由に入れるというわけではありません。インターネットも同じで、ID・パスワードやIPアドレスを割り当てられた人だけが入れるようになっています。

インターネットをしているというのは、回線とプロバイダの両方を利用していることになります。

回線事業者とプロバイダ

インターネット回線やプロバイダには以下のようなところがあります。

インターネット回線

  • NTT東西・・光・ADSL
  • KDDI・・光
  • 電力会社・・光
  • CATV・・光・ケーブルテレビ回線
  • WiMAX・・無線

プロバイダ

  • ぷらら
  • OCN
  • So-Net
  • BB.excite
  • ピカラ

近年は、光ファイバーが多く使われるようになってきています。

戸建やマンションでは光回線を宅内に引いたり、マンションの1Fまで光でそこから部屋までは電話回線というパターンもあります。Fiber To The Home、FTTHともいいます。

ADSLというのは 従来の電話回線でADSL信号を使って行う、比較的高速なインターネット回線です。光回線の普及で、ADSLは少なくなってきています。

次に多いのがケーブルテレビです。全国的に展開し代表的なところは J-COMになります。各地域にもケーブルテレビ会社はあります。ケーブルテレビ回線は、幹線は光で宅内までは同軸ケーブルを使用することがあります。

また無線でも高速な通信が可能となってきており、代表的な回線に WiMAXがあります。

プロバイダは、どの回線に対応しているかというのもありますが、国内に数百社あるといわれています。

選択と固定

回線とプロバイダという関係を分かりやすく示しているのが、NTT回線です。

同じNTTの光を利用していても、それぞれ利用者によって契約しているプロバイダは違ってきます。ある人はOCN、ある人はぷらら、ある人はSo-Netなどのようになります。

回線の契約時に事前に対応しているプロバイダから選べるようになっていることもあれば、自分でプロバイダだけ別途申し込むということもあります。NTTはインターネット回線事業者としては、対応しているプロバイダが多く自由度が高いという特徴があります。

他にKDDI光(auひかり)やコミファ光(中部電力系)も、対応しているプロバイダから選択できるようになっています。

電力系の光回線の場合は、回線事業者が回線とプロバイダを兼ねていることが多くなっています。予めすでに回線とプロバイダがセットになっているので、プロバイダを別に選ぶということはほぼありません。

例えば 関西電力系のeonetならeonet、四国電力系のピカラならピカラ、九州電力系のBBIQならBBIQがプロバイダになります。

ケーブルテレビも回線とプロバイダの両方をセットにして提供しています。例えば、J-COMならプロバイダはJ-COMになります。地域のケーブルテレビ会社も回線だけケーブルテレビでプロバイダが別会社ということはほとんどありません。

FVNO

これまで、NTTの光ファイバー網はNTT東西のみが使っていたのですが、2015年からプロバイダ・電気通信事業者に「卸売り」を開始しています。

これにより、これまでインフラを持たなかった事業者・プロバイダが光ファイバーを回線として持つことができるようになり、自社のプロバイダ事業などと一括して自由な料金設定や割引サービスを提供しています。

このような形態を光コラボレーションモデルといい、サービスを提供する事業者を光コラボレーション事業者、FVNO(仮想固定通信事業者)ともいいます。

光コラボレーション事業者は数百社あるといわれていますが、最も代表的な事業者は主要プロバイダや携帯電話会社によるものとなります。例えば 前者にぷらら光、OCN光、So-Net光、BIGLOBE光、BB.excite光、後者にドコモ光、ソフトバンク光などがあります。

光コラボレーションモデルでは、基本的に回線とプロバイダは同じ会社と考えます。ただドコモ光に関しては、対応プロバイダから選択できるようになっています。

MVNO

無線のインフラには、WiMAXと携帯電話の回線があります。

WiMAXは、回線の管理・運営をUQコミュニケーションズが行っています。KDDIグループの会社です。

WiMAXも、WiMAXネットワークをプロバイダに開放し、プロバイダが料金設定、サービスを提供しています。このようなプロバイダを MVNO(仮想移動体通信事業者)といいます。

WiMAXは、基本的に申し込む窓口によってプロバイダが決まります。

例えば、大元のUQコミュニケーションズで申し込みをすれば プロバイダはUQコミュニケーションズです。他のプロバイダ 例えばNiftyやBiglobeなどにすれば、そこがプロバイダになります。

携帯電話の回線は、4Gや5Gなど回線があります。音声通話のみではなくデータ通信としても使用されています。

ドコモ・au・ソフトバンクなどの回線でデータ通信(インターネット)をしているということは、その携帯電話会社のプロバイダを使っていることになります。携帯電話網からインターネット網に入る際に APN(Access Point Name)で認証を行っています。

携帯電話各社の回線にもMVNOがあり、MVNOが料金設定やサービスを提供しています。この場合も 基本的にプロバイダは変更となるため、APNの設定を行うことが多くなっています。

FVNOとMVNOは、申し込みをしたプロバイダが、回線とプロバイダの契約先であり、サポートなどの連絡先になります。


対応状況

回線やプロバイダを選ぶ際は、その回線の信頼性、プロバイダのサービス、光電話の有無、CATVとのセット、コスト、外出先での利用など基準となるのは その人その人で異なってきます。

まずは、今住んでいる自宅やマンションにどういう回線が対応しているのかを調べることも大切です。

NTT・電力系の光やケーブルテレビの回線がそもそも引けるのかどうか?マンションが対応しているのかどうか?またWiMAXであれば対応エリアなのかどうか?などです。

前述したように、光コラボレーションモデルというのは 基本的にNTT回線を使います。そのため、NTT東西の光ファイバーが対応しているエリア・建物では、基本的に問題ないといえます。

IPv6

IPv6とは、128ビットのIPアドレスを使ったインターネットへのアクセス方法のことです。従来のIPv4と違い PPPoE接続を行わない(IPoE)、全般的に高速にインターネットへアクセスできるという特徴があるとされています。現在は切り替わりが進んでいる段階であり、IPv4とIPv6の両方に対応する方式で デュアルスタック、IPv4 over IPv6とよばれています。

回線・プロバイダによって、従来のIPv4とIPv6で分けられていたり、IPv6(IPoE)が前提、あるいはオプションとなっていることがあります。

IPv6に対応している回線は、auひかり、光コラボレーションモデル(IPoE対応)、NURO光などがあります。NTT東西の光も、IPv6に対応しておりプロバイダが対応していれば、IPoEでの接続も可能です。

IPv6は どの回線で使用するにせよ、一部サービスが利用できないことや機器が必要となる場合があります。既存のインターネット環境からPPPoEからIPoEへの変更や、新規でのインターネット回線の申込みなどの際は、窓口などで確認したほうがよいと思われます。

キャリア

回線・プロバイダでは、他のサービスと組み合わせることで割引となることがありますが、代表的なものとして携帯電話会社 キャリアとの組み合わせになります。

auならauひかり、一部の電力系、J-COM、docomoならドコモ光、ソフトバンクならソフトバンク光、NURO光などがあります。割引となる場合の条件なども多少あるため、事前に確認したほうがよい点になります。

携帯電話会社以外の組み合わせとしては、電力系で電気代の割引などがあります。

ベストエフォート型

インターネット回線は、すべてベストエフォート型になります。最大値でこのぐらいの能力がある、許容度がある、耐性があるという意味です。

またデータは、パケットという小さなサイズに分割されて送受信されています。パケット通信形式といいます。

例えば、車で道路を進んでいるとします。車が少なければ、スムーズ進むことができますが、信号があったり、脇道から車が出てきたり、曜日・時間帯によって車が増え速度が落ちたり、渋滞することもあります。

インフラとしては、そのぐらいの速度を許容できるようになっているが、実際は複数のユーザーで共有して使っているのでそうはいかない、通信量、トラフィックによって左右されるということです。

ベストエフォート型というのは、あくまで理論値・最大値であり、速度が保証されるものではありません。

認証

回線とパソコンをつないでいるものに 回線終端機器、モデム、ルーターなどがあります。

光回線では回線終端機器 ONU、ADSL回線ではモデム、CATV回線ではケーブルモデムが使われます。これらの機器があることでインターネットへの準備が整います。

設定は、基本的にルーターに行います。プロバイダのIDとパスワードを入力するので、認証ともいいます。

NTTNTT光回線のONU兼ルーター。ログインしてプロバイダのID・パスワードを設定します。


IPv6(IPoE)では、ID・パスワードによる設定は基本的にありません。ONU・ルーター・プロバイダなどの情報が事前に登録され、初回の工事後に使用できることが多くなっています。

CATVCATVでは、ケーブルモデムをつなげばインターネットにつながります。

基本的に初回の認証は、事業者による工事・設定により行われます。


モバイルルーターWiMAXや4G・LTEでは、ホームルーターやモバイルルーターという機器を使います。

SIMカードに設定が書き込まれており、電源をONにするとすぐに使えることがほとんどです。


これらモデムやルーターは 回線事業者からの貸出が一般的です。WiMAXなどのホームルーターやモバイルルーターの場合は、契約に端末購入も含まれていることが多くなっています。

一般的にどの回線・プロバイダでも、IDやパスワード、メールアドレスなどが記載された用紙があります。再設定の際に必要になることもあるため、保管しておきます。