CPUクーラーの着脱
CPUグリスの塗り替えやCPU交換などの際は、CPUクーラーを取り外す必要があります。
CPUクーラーは、主に2通りの固定方法があります。
ひとつは Intel プッシュピンタイプといわれるもので、手動で固定するタイプです。もうひとつはバックプレートタイプで、これはマザーボードの裏にネジ受けのプレートを付けて固定するタイプです。
このページでは、IntelプッシュピンタイプとバックプレートタイプのCPUクーラーの取り外し、取り付けの方法について解説しています。
プッシュピンタイプ
ここでは LGA115X系のマザーボード、CPUクーラーを使って解説しています。
Intelのリテールクーラーは、土台部分に矢印のマークが付いているため、ここに着目します。
箱から取り出した状態では、矢印のマークはCPUクーラーと平行な方向を向いています。
そのままの状態で、マザーボードに取り付け 4箇所とも軽く下に押し込むと、CPUクーラーを固定することができます。
固定されている状態では、マザーボードの裏側に4箇所とも黒いピンが出ています。
取り外し
ここでは、説明しやすいようにPCケースからマザーボードを取り外しています。実際はマザーボードを取り出さなくても行うことができます。
まずCPUファンの電源ケーブルを取り外します。
窪みにマイナスドライバーなどを入れます。
矢印の方向に回転させます。反時計回りで90度になります。
矢印のマークは内側を向きます。4箇所ともこのようにします。
次に留め具を上に引き上げます。基本的に手で力を入れて引き上げるのですが、硬いときがあります。
留め具は 5mmほど上に上がるようになっています。この作業はマザーボードの裏に出ている黒いピンを上に引き上げる作業になります。
マザーボードの裏側は、ピンが抜けて引っ込んでいることが分かります。
4箇所とも上に引き上げていれば、CPUクーラーは持ち上げるだけで取り外すことができます。やや硬いときがあります。
取り付け
CPUクーラーの再装着を行う場合は、CPUクーラーの状態を 箱から取り出したリテールクーラーと同じ状態にします。
CPUクーラーを取り外した後の状態。
矢印のマークは、CPUクーラーを向いています。
黒い留具を時計回りに90度回転させて、矢印の向きをCPUクーラーと平行にします。(青は矢印のマークの向き)
横から見るとこのようにな状態になっています。
この状態は、Intelのリテールクーラーを箱から取り出した状態と同じになります。
CPUファンの電源ケーブルを接続する場所を確認します。
IntelのCPUクーラーは、どの向きで取り付けても機能的に問題ありません。ロゴマークやシールが上下左右どこを向いていなければならないなどの決まりはありません。マザーボードによってCPUファンの電源コネクターの場所は異なるため、適切な場所・向きはそれぞれ異なります。
CPUクーラーの土台(足)を4つの穴に収めます。白いプラスティックの土台がきちんと入るようにします。
このとき、マザーボードの裏側はこのようになっています。白いプラスティックの土台がきちんと入ることでピンを固定できるようになります。
プッシュピンタイプのCPUクーラーは、対角留めが推奨されています。均等にバランスよく取り付けを行うためです。
それぞれ真下に力を入れるとピンが押し下がるようになっています。ピンが入ったら「カチッ」と音がすることがあります。
取り付けに成功すると、マザーボードの裏側は4箇所ともこのようになります。
最後にCPUファンのケーブルを接続します。
CPUクーラーの再装着は、CPUクーラーの黒い留具の矢印をもとに戻し、後はパソコンを自作する際の取り付けと同じになります。
バックプレートタイプ
バックプレートタイプのものは、ネジを緩めて外しますが、基本的に対角でネジを外していきます。
例:市販されているCPUクーラー
この例では、CPUファンを取り外した後にネジを外します。
例:AMDのリテールクーラー
固定する場合も対角留めで行います。また一箇所ずつ完全に固定していくのではなく、まず4つとも仮留めをしてから、完全に固定します。
マザーボードの裏面のバックプレートには、両面テープが付いている場合と付いていない場合があります。
主に市販されているCPUクーラーなどでは、両面テープが付いていない場合があり、CPUクーラーの取り外しなどの際にバックプレートが本来の場所からずれたりすることがあるため、再取り付けの際にやや注意が必要なことがあります。
全般的にプッシュピンタイプより着脱が容易であるため、メーカー製パソコンなどでは基本的にバックプレートタイプが使われることが多くなっています。
失敗例
プッシュピンタイプでは、しばしば取り付けの失敗が起きることがあります。
失敗例:上から力を入れた時にプッシュピンを固定するプラスチックの土台が穴に入っておらず、外に出てしまっている状態。
CPUクーラーを一度取り外して、土台の部分の形を整えてやり直します。
失敗例:1箇所 土台が入っておらず、取り付けに成功しているようで 完全にできていない状態。
CPUクーラーの装着がうまくできていない場合、CPUが冷却されないため CPU温度が高くなった状態を維持したり、パソコンの電源を入れてもすぐに電源が落ちるということがあります。
そのため、CPUクーラーの取り付けを行った後は、PCケースのメンテナンスホールなどから土台の状態を確認したり、BIOS・UEFIでCPU温度を確認するということがあります。