人から人へ、人と人の
ソーシャルとは、和訳すると、社会の、社会的な、という意味があります。社会ですから、人と人、共同の、個々のということを示しています。
例えばソーシャルメディアなら、人から人へ伝達するメディア、人と人の共同のメディア、個人が発信するメディアという解釈になります。
ソーシャルと名の付くものは、人や人々、個人が登場します。人の、人々のという言葉を形容させると、概ねその言葉の意味が掴めます。
このページでは、ソーシャルメディアとは何か、またその関連する用語について紹介しています。
ソーシャルメディア
メディアというと一般には新聞、テレビ、雑誌、ラジオなどを指します。これはある特定の組織や団体だけが発信しているものです。
このようなメディアを、マスメディアといいます。マスコミュニケーション。大衆向けのメディアです。
こうした大衆向けの情報発信というのは、ある一定の条件を満たさなければ行うことはできません。また どちらかというと一方通行な情報が多いといえます。
それに対して、ソーシャルメディアは、インターネット環境があれば誰でも情報を発信できます。また特定の条件などが必要であるわけでもありません。
ソーシャルメディアでは、比較的自由な意見や感想、会話などが行われ、双方向、参加型、相互に作用、すなわち インタラクティブという特徴があります。
ソーシャルメディアには、以下のようなものがあります。
- レビュー
- Youtube
- Yahoo!知恵袋
- 教えて!Goo
- ブログ
- 電子掲示板・フォーラム
- Wikipedea
- はてなブックマーク
インターネットの発達と多様な媒体・メディアの登場によって、誰でも情報を発信できるようになっています。これらは、個人が発信している情報、人から人へ向けた情報であることが分かります。
Wikipedeaというのは、巨大な百科事典のようなもので、ある事柄について詳細に情報が掲載されています。
これは誰か特定の人が編集しているというわけではありません。そのことに関する知識があれば、誰でも編集できるようになっています。1つのページも複数の人の編集で成り立っています。
Web2.0
ソーシャルメディアが出てくるときに、キーワードになった言葉に Web2.0があります。このキーワードに呼応するかのようにブログサービス、Wikipedia、Twitter、Facebookなどが急速に普及しています。
一般的に、2005年頃までの従来型のWeb1.0に対し、Web2.0は次世代型、双方向性、協働的という概念があります。
登場した時は漠然とした概念もあった言葉ですが、結果的に多くの人々がメディアを手にして情報を発信できるようになった、双方向性・協働的なWebサービスが増えた、つまり Web2.0に移行しているということになります。
このようなWebの変化の背景には、クラウドコンピューティング、スマートフォン、通信インフラなどのハードウェアの技術的な発展も大きいといえるでしょう。
(Web2.0:米国 企業家 ティム・オライリーの提唱)
情報の非対称性
経済学では、情報の非対称性という言葉が使われることがあります。
情報の非対称性とは、売り手と買い手、供給側と需要側、依頼人と代理人などにおいて情報に差異がある、対称ではない状態をいいます。様々な経済的事象について用いられることがあります。
検索して情報を調べたり、比較するということがあります。隠された情報はないか?妥当な価格であるのかどうか?どのような企業なのか?様々な角度からその製品の良さが評価されていたり、企業の姿勢に賛同するということもあります。
あるいは、企業や組織がホームページなどで、製品やサービスの概要、使用した場合に得られる利益 ベネフィット、認証マーク、導入事例、セキュリティや社会への取り組みなどを訪問者や消費者に伝えるということもあります。
つまりひとことでいえば、インターネットやソーシャルメディアというのは、情報の非対称性を緩和する、解消することができるといえます。
(情報の非対称性:米国 経済学者 ジョージ・アカロフの提唱。M・スペンス、J・E・スティグリッツとともにノーベル経済学賞受賞。)
ステルスマーケティング
ステルスマーケティングとは、ブログ、レビューなどで、商品やサービスの評価を作為的に上げたり、商品やサービスの売上が伸びるようにすることです。ステマともいいます。
事業者が個人に依頼して行われることもあれば、事業者がアカウントなどを取得して 内部で行っていることもあります。
実際にはその商品やサービスを利用していないにも関わらず、利用したように装って、商品やサービスの感想を書いたりすることもあります。
実際のユーザー数が増えれば増えるほど、商品やサービスの内容に極端な差があった場合にステルスマーケティングと疑われたり、逆に評価を落とすようなことがあります。
マーケティングには、期待不一致理論といわれるものがあります。
顧客満足は、事前の期待と提供された製品・サービスのバランスによって決まるというものです。事前に過度の期待を作り出しても、提供されたサービスが期待に見合うものでなければ、負の不一致、つまり顧客満足は得られず失望やネガティブな感情を抱くというものです。
この理論は、ステルスマーケティングとまではいかなくても、インターネットを利用したアプローチでも示唆を与えていると考えることができます。
(期待不一致理論:米国 経営学者 リチャード・オリバーの提唱)
ソーシャルネットワーキングサービス
ソーシャルネットワークキングサービスは、略してSNSといいます。
インターネットというのは、Webサイトをはじめ すでに情報が共有されているのですが、一般的に SNSというときは、インターネットの中でもさらに共通のサービスを利用する人と情報のやり取り・コミュニケーションを行うことができるサービス、またはそれを目的としたサービスを指します。
例えば、Twitter、Facebook、Instagram、mixiなどがあります。いずれもIDやパスワードなど アカウントを取得して利用するようなサービスです。
ソーシャルメディアの中でも ユーザー同士でネットワークを形成しているものです。
Twitter、Facebook、InstagramなどのSNSの特徴は、ユーザーがあまり複雑な操作を行わなくても、テキストを入力したり写真などを掲載して、簡潔に情報を発信できるという特徴があります。
近年は、企業や法人、自治体が FacebookやTwitterを利用して様々な情報を流しています。また、個人ユーザーがFacebook、Twitter、Google+を他のサービスでのログイン用のアカウントとして使ったりなど、必ずしも決まった使い方があるというわけでもありません。
プラットフォーム
SNSの多くは、ユーザーにプラットフォーム(場)を提供し、ビジネスを行っているため、プラットフォームビジネスということもあります。
例えば、TwitterやYoutubeなどではコンテンツを作ったり公開しているのはユーザーです。UGC ユーザー生成コンテンツといいます。企業がすべてのコンテンツを作成し提供する形態とは異なることが分かります。
SNSだけではなく、Amazon、価格.COM、ヤフーオークションなどもプラットフォームビジネスであるということができます。
プラットフォームビジネスは、利用者が増えるほど価値が増大するという ネットワーク外部性を有するといわれています。
プラットフォームは、一部の企業による寡占 ロックインが生じやすいといわれますが、利用者に低コスト、利便性など一定のメリットを提供しています。
プラットフォームを支えている基盤は、仮想空間において無限のユーザー、コンテンツを吸収し拡張することのできるドメイン、一対多の通信を可能とするサーバーなどがあげられます。
マーケティング3.0
ソーシャルコマースやプラットフォームビジネスの形態は、企業とユーザーによって、共に価値を創出する、協働するという、マーケティング3.0の概念に近いものがあります。
マーケティング3.0は、価値に焦点をあて 多数対多数で行われます。製品に焦点をあてた 1対多数のマーケティング1.0、顧客に焦点をあてた 1対1のマーケティング2.0と対比して紹介されることがあります。
例えば、Amazonの商品を見てみると、製品の画像や説明があり、続いてユーザーのレビューがあります。ユーザーがその商品の新しい使い方を紹介していたり、改善点を指摘していたりということがあります。企業側がこのようなレビューを見て新しい商品開発や既存製品の改善の参考にするということもあるでしょう。ある意味、協働的であるといえます。
また商品のQ&Aでは、ユーザーの質問に対して 企業が直接回答しているということもあります。
このような事例を見ると、ネットワークやソーシャルメディアというものが、すでに協働の準備を整えているということもできます。
マーケティング3.0は、多数対多数の協働といわれます。これは企業と消費者との協働だけではなく、企業内部においても協働的、インタラクティブな環境が構築できているかどうかも項目のひとつとしてあげられるでしょう。
情報を共有するグループウェア、複数で作業を行うグループワークをはじめ、従業員満足が顧客満足を作り出すという サービス プロフィット チェーンなどが実現されているものを指すといえます。
規模の大小、業種を問わず マーケティング3.0、あるいはそれに近い企業・会社はあるか?というと、あるといえます。ただ企業内部のことなので、ビジネスモデルに近くあまり公にはならないでしょう。
(マーケティング3.0:米国 経営学者 フィリップ・コトラーの提唱)
第三の波
情報機器や情報通信技術が発達した時代を、第三の波の時代ということがあります。
第一の波を農業革命からの時代、第二の波を産業革命からの時代、そして第三の波を情報革命から始まる時代としています。
産業革命から始まる第二の波の時代は、規格化・分業化・同時化・集中化・極大化・中央集権化という言葉で象徴される時代であるとされます。第三の波の時代では、このような形態に変化が現れてくるといわれています。
第三の波の特徴は、時間と空間の制約からの解放、非同期性にあります。
例えば、Webページやブログ、ソーシャルメディアなどの情報は、それが数日前、数ヶ月前の情報であっても、閲覧されます。またインターネットでは、国内のどこからでも、あるいは世界中からアクセスすることができます。つまり、情報の取得に関していえば、時間と空間の制約がほとんどないということになります。
これは、ある情報や価値を提示したときに、時間と空間を超えて利用者・賛同者が集まってくるということができます。第三の波の時代に現れてくる様々な事象の特徴は、この非同期性という性質から導き出すことができるでしょう。
(第三の波:米国 未来学者 アルビン・トフラーの提唱、情報化社会を予見)