落雷による影響について考える

近年は、ゲリラ豪雨ともいわれるように、天候が急変して豪雨になったり雷がなったりすることが多くなっています。

落雷

落雷・雷で発生する異常な高電圧や、その結果引き起こされる過電流を総じて 雷サージといいます。雷サージは、電線やケーブルなどを通じて、家電製品やパソコンに影響を与えます。

このページでは、落雷によるパソコンや周辺機器への考えられる影響と雷サージの対策について考えてみます。

事例

実際に落雷によって起きた事例です。

1.裏山に落雷

少し小高い丘にある住宅街である日、数十メートル後ろにある裏山に、落雷があったそうです。

落雷後、パソコン(デスクトップパソコン)が全く起動しなくなりました。検証すると電源ユニットが完全に壊れていることが分かりました。電源ユニットから焦げ臭い匂いがしました。ハードディスクのデータは無事で、不良セクタなどもなく問題ありませんでした。

2.近所に落雷

家のすぐそばで落雷がありました。

落雷時、パソコン(デスクトップパソコン)の電源は切っていたとのこと。電源タップは、年数は経過しているものの雷サージ対応のものでした。

パソコンは起動するのですが、インターネットが非常に遅いというトラブルが起きていました。ブラウザを開いても、一部分だけ表示されてフリーズしているような感じです。

検証すると、ルーターにログインできないことが分かりました。このルーターはプロバイダの貸し出したルーター内蔵モデムです。

自作パソコンでしたが、他にLANボード不良、HDD不良が見つかりました。しかしハードディスク内のデータはすべて無事でした。

HDD不良がもともとだったのか、落雷の影響だったかは定かではありません。

3.近所に落雷

同じく近所に落雷。

落雷時、パソコン(デスクトップパソコン)の電源は切っていたそうです。

落雷後の被害は、パソコンの電源は入るが、モニターに何も表示されないというトラブル。新しいモニターを購入して繋いでも表示されないということでした。しかしWindowsの起動音だけスピーカーから聞こえるというものでした。

自作パソコンでしたが、検証の結果、グラフィックボードの不良、オンボードLAN(マザーボードについているLAN端子)の不良、メモリーエラー検出(2枚のうち1枚)。他にモデム不良。ハードディスクは異常がなく、データはすべて無事でした。

4.ノートパソコンが異常に重い

ノートパソコンがある日、突然異常に重くなるというトラブル。

OSやハードディスク、メモリーなどのパーツを検証するも異常がなく、マザーボードの故障で確定となりました。

このトラブルの数日前に、近隣で落雷があったとのこと。

落雷が原因かどうかは定かではありませんが、突発的で特異なトラブルから鑑みると落雷が原因である可能性はあるといえます。

考えられる影響

まず、集合住宅よりも戸建てで起きやすいという傾向があります。そして雷サージは、電線、電話線、アンテナケーブル線から侵入してきます。

そのため、電源をつないでいるパソコン本体、ディスプレイ、ルーター、電話線をつないでいるモデムなどは影響を受けやすいといえます。

雷サージのエネルギーは非常に大きいため、パソコンを起動している状態でも、起動していない状態でも影響を受けます。特に自宅に近い場所での落雷は、影響も大きくなります。

壊れやすい・影響を受け易いものとしては、パソコン電源部ディスプレイ、ディスプレイと接続しているグラフィックボードモデムルーター、ルーターと繋がっているLANポートなどが挙げられます。

つまり、電源や電話線など侵入口に近いものほど影響は受けやすくなります。

画面が表示されないという場合は、ディスプレイかグラフィックボードのいずれかが高いと考えられます。

ハードディスクが影響を受けるか受けないかは、状況にもよります。

ハードディスクは、電源→マザーボード→ハードディスクと接続されており、電源やマザーボードにおいて過電流の減衰があると考えることができます。

どの程度減衰があるかは、雷サージの大きさや、電源とマザーボードが過電流保護回路を搭載しているかどうかなどにもよります。

少なくとも、ハードディスクはパソコンの構成上、最も枝葉のところにあるため、データが保全されている可能性はあります。

他に影響を受けやすい機器としては、LAN接続タイプのネットワークディスクもあげられます。主に事業所に多い機器です。

ネットワークディスクの場合は、雷サージによる影響も考えられるのですが、落雷による瞬電・瞬停で ハードディスクの論理障害が起きることがあると実際に報告されています。落雷や雷サージの影響というよりか、停電による影響が出ていることがあります。

落雷後、パソコンやネットワーク機器の調子が悪い、普段出来ていることができないなど異常が起きているようなら、落雷により影響を受けている可能性があります。

故障後の対応

明らかに故障している、使えないという場合は、修理に出すしかありません。データの救出が必要であれば、それも合わせて行います。

場合によっては、保険の適用やメーカーによる一定範囲の保証が効くこともありますので、保険の契約やメーカー保証の確認をします。

一般的に、データ救出に関してはメーカー修理では対応しないこともあるため、自分で行うか、専門の会社に依頼することになります。

またモデムやルーターの故障は、インターネット回線の会社に連絡することになります。

対策

落雷がいつ起きるか分からないというのありますが、天気予報で落雷の可能性、大気が不安定というときは十分に注意が必要です。また夏は、日中の強い日射により午後や夕方に積乱雲が発達して豪雨を伴うことがあります。

事前にできる対策としては、パソコンに接続されているあらゆるケーブルを外すというのがいいでしょう。

電源ケーブル、LANケーブル、電話線、ケーブルテレビの線などです。外部とのつながりを無くすという方法です。

またディスプレイ・モデム・ルーター・プリンターなどの周辺機器・ネットワークディスクなども同様に電源を抜いておくということもあげられます。

これらのネットワーク機器は、基本的に電源を再度ONにして数分待てば、もとのように使えるようになっています。

ネットワークディスクに関しては、いきなり電源を抜くのではなく、マニュアルに沿ったかたちで適切なシャットダウンを行い、その後電源ケーブルを外します。

また、落雷に限ったことではありませんが、普段からデータのバックアップはきちんと行なっていたほうがよいでしょう。

雷サージ対応

雷サージの対策としては、最低限電源タップは雷サージ対応のものを使用するということがあげられます。

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パソコン、ディスプレイ、モデム、ルーターなどの機器は、壁の電源から直接取らずに、雷サージ対応の電源タップを経由して繋げるという方法です。

雷サージ対応の電源タップは、必ずしも完全に雷サージを防いでくれるわけではありませんが、過電圧・過電流を可能な限り防いで、被害を最小限に抑えてくれます。何も対策をしないよりかは効果が期待できます。